伊勢藤
(いせとう)
【神楽坂】
飯田橋で外回りの仕事があったので、当然仕事帰りは気の利いた店で軽くねって、当然の流れであります。飯田橋ってクルマでは通るものの、歩くのは初めて。料亭で神楽坂も近いのですが、当然のことながらそんな店は問題外です。で、ちょっと気軽に寄れそうですが、歴史を感じさせる店として見つけたのがこちらの店です。メインストリートから路地に入った奥にあるこちらの店も、高級料亭ではありませんが昔ながらの仕舞た屋の雰囲気を残しています。「伊勢籐」の看板がなければ民家と間違えてしまいそうです。縄暖簾が唯一居酒屋であることを物語っています。 |
店内に入ると、そこはすでに異次元の世界です。白熱灯が醸し出す、ちょっ薄暗いのですが、温かみのあるほの暗さ。昭和と言うより時代劇に出てきそうな雰囲気です。静かで薄暗い店内の奥には囲炉裏を囲んだ6席。そして入口のテーブル席。右手には小上がりがあります。開店時刻から少し過ぎて入ったのですが、すでにかなりのお客さんが呑んでいらっしゃいます。しかもシーンとした酒だけを楽しむ世界が広がっています。ちなみに写真撮影禁止なのでその様子を残せず残念ではあります。 |
囲炉裏では作務衣を着たご主人が酒の準備をしています。奥にある調理場では女性陣が料理を用意しているようです。 席に案内されると聞かれるのは、「燗でよろしいでしょうか」だけです。こちらでは基本的に品書きがないのです。まず酒は白鷹の上撰\540だけ。それを燗にするか冷やにするかしか選べないのです。今回は「冷や」でお願いしました。しばらくすると酒と共にご主人が日替わりで作られる肴というより酒のアテといった方がふさわしい、1汁3菜\1620が少しずつ運ばれるという仕組みなのです。 |
今回はまず塩エンドウと味噌が運ばれました。続いてイカの塩辛、ちくわ、さつま揚げ、塩昆布などの小鉢。最後に味噌汁が運ばれました。どれも量は少ないのですが、確かに酒とぴったりのものです。一人静かに酒を傾ける、そこには多人数でわいわいと騒ぎながら飲む酒ではなく、一人物思いに耽りながら、楽しむ時間が広がっているのです。こういう雰囲気好きですね。 おっと、書き忘れましたが、品書きがないと書きましたが、実を言うと日替わりの品が出されると、豆腐や納豆と書かれた品書きが出されるのです。日替わりの品で足りないときにはこちらを頼むようです。またこの雰囲気を楽しみに訪れたいと思います。ごちそうさまでした。 (14.11) |
久しぶりの再訪です。以前と比べてお客さんが少なく、ゆっくりと過ごすことができました。しんみりとして静かな空気が流れる、独特の空間。主は囲炉裏で燗をつけ、燗付けがない時は静かに囲炉裏灰を片づけている。エアコンもない昔ながらの仕舞た屋の造りで、路地裏を歩く人の話し声がストレートに入ってくる。何とも言えない空気が流れる居酒屋です。大きな声を出すことも禁じられているので、数人で静かに時を過ごすのにいいかな。 酒は白鷹\500のみ。1汁3菜のお通し\1500で酒を呑んでいきます。でも、ちょっと気を抜けないのは何だかな〜 ごちそうさまでした。 (17.1) |